【小話】政治家の嫁は秘書様 さーちゃんが入院中の一コマ

「さーちゃん、なにやってんの……」

 その日、嫌々ながら杉下達をつれて沙織が入院している部屋に顔を出すと、なにやらベッドの足元で大きなゴムボールのようなものがあり、それに座って沙織がテレビを見ている。

「あ、お帰り。これねバランスボールとかいうやつ。ほら、病室に閉じ篭っているのに美味しいご飯食べてるから太っちゃいそうなのよね。だからこれを使ってダイエットも兼ねたエクササイズすることにしたの。あ、ちなみに今は休憩中でテレビ観てるとこ」

 閉じ篭っていると口にした時に声が少しだけ大きくなったのは恐らくここに滞在することを決めた俺達に対する嫌味なんだろうな。やれやれと呟きながら部屋に入った。沙織は俺の後ろから杉下達三人がゾロゾロと入ってきたので少し驚いたようだ。

「今日は何? もしかしてパーティでもするつもり?」
「いや、ちょっと事前の作戦会議が必要でさ」
「だったら自宅に戻れば良いじゃない。竹野内さん、コーヒーメーカーまで持ってきたんですか?」

 竹野内が部屋の横にある小さなキッチンに事務所にあったコーヒーメーカーを置くと目を丸くした。

「カフェインが切れたら困るから。こいつが豆にうるさくて」

 そう言いながら杉下を指さす。

「それと自宅でしたら沙織の顔が見れないとか文句をたれる先生もいるんでね。申し訳ないけど我慢してくれるかな」
「まあそれは構わないけど……影山さん、それ、もしかしてピザ?」
「そうですよ。ここのじゃなきゃ嫌だと言い張る政策秘書とかいう人物がいまして。一緒に食べますか?」

 その問いかけに少しだけ迷った表情をした沙織だったが無念そうに笑いながら首を横に振る。

「こんな時間から食べたらお腹のお肉になっちゃうから我慢します。エクササイズの意味がなくなっちゃう」
「たまにはいいじゃないか」
「良くない。後で苦労するのは私なんだから先生は黙って仕事しなさい」
「はあ、最近のさーちゃんは冷たい……」

 そんな訳で俺達四人は和室の方で作戦会議、沙織曰く「先生と愉快な仲間達の会合」をすることになった。

 沙織がいるということで普段のように長時間ではなかったものの、何が悲しくて毎日こいつらをつれてこなきゃいけないんだとぼやく羽目になったのは言うまでもない。そして更に悲しいのは沙織がそれをまったく嫌がっておらず、むしろ喜んでいるということだった。


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